ニュートン算とは?|中学受験の頻出テーマを攻略しよう
ニュートン算は、「水槽に水をくみ出すポンプの問題」や「牧草を食べる牛の問題」などでよく登場する中学受験では定番の特殊算のひとつです。
一見、仕事算に似ていますが、「ある量が毎分・毎日・毎秒…といった一定の割合で増えたり減ったりする中で、最終的にどうなるか?」を考えるのがニュートン算の特徴です。
入試本番でも、「水が入ってくる」「草が生える」「人が並ぶ」といった身近な設定で出題されやすく、文章が長くなりがちなため、苦手意識を持つ子も多い単元です。
でも、コツを押さえればしっかり解けるようになります!
仕事算に似ているけど少しちがう!
仕事算もニュートン算も、「ある作業を何人で何時間かけると終わるか?」という点で共通点があります。
しかしニュートン算には、「作業をしているあいだにも、量が増えたり減ったりしている」という“やっかいな変化”が入ります。
- 仕事算:最初から最後まで一定量をこなす
- ニュートン算:最初にある量+増減しながら変化する量
たとえば、水槽の水をくみ出すポンプの問題では、
「ポンプで水をくみ出しているあいだにも、別のパイプから水がどんどん流れ込んでくる」
というような状況がよくあります。こうした“増えたり減ったりし続ける”場面をどう処理するかが、ニュートン算のポイントです。
「はじめの量」+「一定の増減」をイメージしよう
ニュートン算では、次の3つの要素を頭の中でイメージできるようにすることが大切です。
要素 | 具体例 | 意味 |
---|---|---|
初期の量 | 水槽に最初にたまっている水 | スタート時点の量 |
増加する量 | 毎分〇Lずつ水が入る・草が生える | 自然に増える部分 |
減少する量 | ポンプで水をくみ出す・牛が草を食べる | 人為的に減らす部分 |
これらを線分図で整理し、「結局、〇分後にどうなるか」「あと何分で全部なくなるか」といったゴールを見据えて計算します。
線分図を使って整理しよう
ニュートン算では、線分図を使って情報を見える化することが、解法の第一歩です。
たとえば、
- 水がどれだけ入ってきて
- ポンプでどれだけくみ出して
- 水槽の中身がどう減ったのか(あるいは増えたのか)
を1分ごとの変化に分けて考えると、複雑な文章題もスッキリ見えてきます。
また、線分図は、式の意味を理解する手助けにもなり、式のミスや逆算ミスを防ぐことにもつながります。
ポンプのニュートン算|水の出入りを式にするコツ
ポンプのニュートン算では、水槽にたまっている水をくみ出すポンプの働きと、同時に水が流れ込む仕組みがポイントです。
問題1:「ポンプ1台の能力」と「2台使ったときの時間」を求める
📝 問題
毎分6Lの割合で水が流れ込む水槽に、360Lの水が入っている。
この水を1台のポンプでくみ出すと、30分で空になる。(1)1台のポンプが1分間にくみ出す水の量は?
(2)ポンプを2台使うと、水槽は何分で空になるか?
✅ 解説(1)
まず、ポンプ1台が1分間にくみ出す水を①とおきます。
すると、30分間でくみ出す水は、①×30となります。
水槽の中にはじめからある水=360L。
そして、毎分6Lずつ新たに水が流れ込むので、30分間で
6L × 30分 = 180L
が追加されます。
つまり、
①×30=360L(初めの水)+180L(流れ込む水)
という式ができます。
①×30=540
①=540 ÷ 30 = 18L/分
よって、ポンプ1台のくみ出す力は毎分18Lです。
✅ 解説(2)
ポンプを2台にすると、1分間にくみ出す水は
①×2台=18L × 2台 = 36L/分
になります。
でも、水は今も毎分6L入ってきます。
つまり、水槽から減る量は
36L(排出)-6L(流入)=30L/分
となるので、
360L ÷ 30L/分 = 12分
で水槽が空になります。
問題2:ポンプがくみ出す水の量がちがう場合
一定の割合で水が入ってくる水槽に、水がいくらかたまっている。
毎分 10L の割合で水をくみ出すと 60分 で空になる。
毎分 16L の割合で水をくみ出すと 36分 で空になる。
このとき、毎分何リットルの割合で水が湧き出るか求めよ。
( 答え)
・一定の割合で水槽に入ってくる水を①とする。
・10×60-16×36=①×60-①×36
毎分1Lの割合で水が湧き出している。
行列のニュートン算|人数の出入りで考える問題
遊園地やイベント会場の「行列」がテーマになるニュートン算も、入試でよく出るパターンのひとつです。
📝 問題
ある遊園地の入り口で行列ができている。
行列には、毎分12人の割合で人が加わる。
入り口を2か所にすると、18分で行列がなくなる。
入り口を3か所にすると、9分で行列がなくなる。(1)1か所あたりの入場数は?
(2)初めに並んでいた人数は?
✅ 解説(1)
まず、1か所の入り口から1分間に人数を ①とおきます。
すると、
- 2か所のとき:1分間に2×①人入れる
- 3か所のとき:1分間に3×①人入れる
そして、「行列がなくなるまでの間に増える人数」も考えます。
- 18分間で増える人数:12人 × 18分 = 216人
- 9分間で増える人数:12人 × 9分 = 108人
それぞれのケースで、入場数の差が、増えた人数の差と一致するはずです。
式で比べると:
2×①×18 − 3×①×9 = 216 − 108
→ 36① − 27① = 108
→ 9① = 108 → ① = 12
つまり、1か所あたりの入場数は12人/分です。
✅ 解説(2)
今度は、最初に並んでいた人数を求めます。
18分間で入場できる人数は:
2か所 × 12人 × 18分 = 432人
そのあいだに増えた人は:
12人 × 18分 = 216人
ということは、最初に並んでいたのは:
432人 − 216人 = 216人
答え:216人
行列のニュートン算のポイント
行列の問題では、次のような流れで解くのがポイントです。
- 1つの入口から1分間に人数を ①とおく
- 線分図で整理
- 式をつくる
とくに「入り口の数が変わる」設定は頻出なので、慣れておきましょう。
牧草のニュートン算|牛と草の関係を式にしよう
牧草のニュートン算は、「草が毎日生えてくる」一方で「牛が食べて減っていく」というパターンです。ポンプの問題と似ていますが、「毎日」「何頭の牛」という単位が登場するので、式の立て方に注意が必要です。
毎日生える量(一定)と牛の食べる量(変化)を整理
📝 問題
ある牧場では、毎日一定の割合で牧草が生える。
牛が30頭いると、6日で牧草を食べつくす。
牛が24頭なら、10日で牧草を食べつくす。牛が何頭いれば、5日で牧草を食べつくすか?
✅ 解説
まず、牛1頭が1日に食べる量を①とおきます。
すると、次のような式が立てられます。
- 牛30頭が6日で食べた量=30頭 ×① × 6日
- 牛24頭が10日で食べた量=24頭 × ① ×10日
- 牛24頭が10日で食べた量-牛30頭が6日で食べた量=10日で生えた草-6日で生えた草
よって、4日で生えた草=①×(240-180)=①×60。
なので、1日で生えた草=①×15。
つまり、草は1日に牛15頭分だけ生えてくるということがわかります。
5日で食べつくすには?
はじめに生えていた牧草=①×30×6-①×15×6=①×15×6=①×90
5日で生える牧草=①×15×5=①×75
よって、何頭かの牛が5日で食べつくす牧草=①×90+①×75=①×165
牛の数を□頭とすると、①×□×5=①×165
つまり、□=165÷5=33頭
入試でニュートン算を解けるようにするには?
ニュートン算は、中学入試の算数でたびたび出題される「差がつきやすい問題」の一つです。
難しそうに見える文章でも、型を覚えてパターン練習すれば、誰でも正解を出せるようになります。
ポイント:線分図で状況を“見える化”
ニュートン算を苦手にする子の多くは、文章の中に出てくる「変化の流れ」をイメージできていません。
たとえば、水が「入ってくる」「出ていく」、人が「並ぶ」「入場する」、草が「生える」「食べられる」――
このような変化を頭の中だけ”で処理しようとすると、混乱しやすくなります。
そこで重要なのが、線分図で「増減の流れ」を可視化することです。こうすることで、式の意味も自然に理解でき、計算も正確になります。
家庭でできるニュートン算の対策法
ニュートン算は、一度つまずくと「意味がわからない」「式が立たない」と感じやすい単元です。
でも、しっかり対策すれば、得点源にもなる“差がつく単元”です。
ここでは、ご家庭で取り組める勉強法と、使いやすい教材をご紹介します。
家庭学習では「定着>スピード」
ニュートン算は、解き方の理解に時間がかかるぶん、「早く解く」より「正しく理解する」ことが大切です。
まずは、
- 「なぜこの式になるのか」
- 「この数字は何を意味しているのか」
を親子で話し合いながら確認してみてください。本人が説明できれば、理解がかなり進んでいる証拠です。
予習シリーズ・魔法ワザ・塾技などの活用法
以下のような問題集がニュートン算の練習に向いています。
📘 予習シリーズ(算数)
中学受験の王道教材。ニュートン算は5年生下巻や6年上巻に登場。
📗 魔法ワザ算数・文章題
問題も難しすぎず、適度な問題量。また、図解もわかりやすい。予習シリーズでつまづいたら、魔法ワザに取り組むといいです。
📕 塾技100(文英堂)
「ニュートン算=塾技39」など、1つのテーマが見開きで完結する構成。
つまずきやすい子には、個別指導・家庭教師もおすすめ!
どんなにわかりやすい教材を使っても、「なぜそうなるのか」が本人にとって腑に落ちないと、ニュートン算の苦手意識はなかなか解消されません。
とくに、式の立て方や線分図の読み取り方は、文章を読んだだけでは理解しづらい部分も多く、
一人ひとりに合わせた丁寧な指導が有効です。
「なぜそうなるの?」に答えてくれる先生が大事
ニュートン算は、単に答えを出すだけでなく、
- どうしてその式になるのか
- どの部分が引き算・足し算になるのか
- なぜこの数値に注目するのか
といった「思考のプロセス」を対話しながら学ぶことで、理解が定着します。
塾や集団授業ではその子の思考に合わせて止まってもらえないこともありますが、
個別指導や家庭教師なら、1つずつ一緒に確認しながら進められます。
1対1だから、線分図や式の組み立ても丁寧に学べる
ニュートン算のような文章題では、本人が式を「自力で組み立てられる」ように導く指導が重要です。
家庭教師や個別指導の先生は、ただ答えを教えるだけでなく、
- 「どこでつまずいたのか」
- 「何を理解すれば次に進めるのか」
を的確に把握し説明してくれます。
また、その場で線分図や図を描きながら一緒に考えることも可能なので、算数が苦手なお子さんでも安心です。
最近では、オンライン対応の家庭教師サービスも増えており、自宅にいながら質の高い指導が受けられます。
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まとめ|ニュートン算は「型」をつかめば得点源になる!
- 「ポンプ」「行列」「牧草」の3つの典型パターンに慣れること
- 線分図で“見える化”すること
- 苦手な場合は早めに個別指導や家庭教師でフォローすること
これらを意識して学習すれば、ニュートン算は怖くありません。お子さんの理解度に合わせた、最適な学習スタイルを見つけてあげてください。