ていねいな字を書く必要なし
ノートをとったり、復習で問題を解くときにていねいな字を書くことに気を使う必要はない。たくさんの問題数をこなせなくなるからだ。中学受験にかかわらず、受験勉強ではたくさんの解法パターンを習得しないといけない。ていねいな字を書くことに注意を払っていては時間が足りなくなる。
力を入れずにうすく書け
力を込めて書くと手が疲れる。そうなると、たくさん復習できなくなる。復習しないと知識は定着しない。たくさん復習しないといけないので疲れている場合ではない。
習字で小筆を使うような感覚でサラサラ書くことを心がけよう。字が薄くなるというデメリットはあるが、それを補う分の量をこなせる。覚えるには何度も復習すのが効果的だ。受験勉強では、それを広範囲にやる必要がある。時間は限られている。スピード重視。だから自然と字は雑でうすくなっていくはずだ。
薄くサラサラ書くと「書いている実感がしない」と思うだろう。たしかに、力強く字を濃く書くと、書いている実感があり、記憶に定着する気がしてくる。実際、定着しやすいのかもしれない。しかし、中学受験は勉強した日から数日間覚えておけばいいというものではない。受験日当日までに広範囲で難度の高い問題に対応できるだけの知識を身につけないといけない。そのためには、何度も復習するということが欠かせない。
勉強ができる子は字がきたない
それほど多くを指導してきたわけではないが、僕は一応塾講師をしている。小中あわせてせいぜい70~80人ほど。あまり説得力はないかもしれないが、勉強ができる子は字がきたない子が多いと思う。
ラ・サールに合格するようなとびぬけてできる子たちは字がきたなかった。きたないとは言わないまでも決してうまい字ではない。6年生のときに入塾してきて「頭いいな」と思った子も字がきたなかった。字に執着しない分、本来やるべき復習に集中できるのだと思う。やる気がなくてテキトーに書いているわけではない。勉強に集中するから自然と字がきたなくなるのだ。
受験勉強は覚えてナンボだ。「考える力」なんていうものは、たくさんの知識を覚えて自在に伝えるようにした上で付随するものだ。「覚えるべきこと」を覚えていない状態で「考える力」をつけようなんて無意味だ。
ラ・サールに合格した子は、どの子も「頭の回転がはやい」わけではない。1を聞いて10を知るタイプではない。いたってフツーだ。物覚えのいい子は他にもいた。
それなのに、なぜラ・サールに合格できたのか?
それは合格するために必要な問題をくり返し復習したからだ。塾の授業の後にも残って復習していた。小学校の宿題のように簡単に済むものをダラダラとやるのではなく、塾のテキストでできないものをくり返していた。量を優先するので当然字はきたない。
逆に頭の回転の速さに自身がある子は、本気で勉強しない子が多い印象がある。「頭がいいのにもったいないな」と思うが、自分が経営している塾ではないのでやかましくは言わない。他人の迷惑にならない限り好きにさせている。
勉強ができる子の中には字の上手い子もいる。しかし、そういう子は本格的に受験勉強を始める前からすでに上手だ。
小学校3,4年なのに大人の僕よりもきれいな字を書く。きれいな字を書くことが習慣化しているので、雑に書いても自然ときれいな字になる。そういう子は、わざわざ今以上にへたな字を書こうとしなくていい。へたな字を書くから勉強ができるようになるわけではない。勉強に集中するから字が疎かになるということだ。