内容・構成
計算問題に特化している。計算といっても、四則演算など超基礎ではなく、文字・記号のある計算(方程式)、整数、数列、N進法、カレンダー、虫食い算など。
8章のテーマがあり、これらすべてのテーマを紹介した後に入試直前テストが用意されている。見開き左ページに例題、右ページに練習問題、次の見開きで解答という構成。
到達レベル
本書の内容が理解できれば、難関校過去問の解説も理解できるようになる。ただし、上記の計算問題に限定した話。文章題、図形は別の教材で補う必要がある。
おすすめ理由
真似しやすい
中学受験の問題集・参考書で解き方がわかりやすいものは少ない。そんな中、魔法ワザシリーズは解説がわかりやすく真似しやすいほうだ。めちゃくちゃわかりやすいかというとそうでもない。しかし、それでもある程度レベルの高い問題を解説してくれる問題集・参考書はなかなかない。
問題が多すぎず少なすぎずちょうどいい
似たような問題を大量に解くよりも、4~5問を計算過程から自力で解けるまで何度も復習するほうがいい。
新しい問題を解いて、自力で解けると嬉しいかもしれない。しかし、そのために時間を割くのは無駄だと思う。1日でも早く解法パターンを覚えないといけないのに、似たパターンの問題ばかりで他のパターンを覚えられなかったら点数に結びつかない。得られる知識は、似たパターン4~5問をくり返すの同じだが、余計に時間がかかる。
その点、魔法ワザシリーズは類題を適度な量にしてある。これらをくり返し復習すれば難関校の過去問の解説を理解できるレベルになる。しかも時間をかからない。
使用期間
本書によると、最難関校を目指すのであれば5年生の夏休みから使うのがおすすめのようだ。塾に通っていて本書を弱点補強に使うのならそれでいいと思う。
僕は、4年生の9月からはじめたほうがいいと思う。それがむずかしいなら5年生の4月だ。CH1~3は、本当の計算問題に特化している。計算力は早いうちにつけるべきだ。
文章問題、図形、数列、整数などのテーマになると、「問題分を読み解く」作業が多くなる。これは結構頭を使う。解き方を理解して覚えるのにエネルギーを注ぐ必要がある。
そのため、計算で手間取っていては話にならない。計算もろくにできないのに、つるかめ算や規則性の問題を解いても意味はない。別のテーマを学習するとすぐに忘れる。また、復習しようと思っても計算力がないとはかどらないので、いやになって復習しなくなる。
計算問題はどんなテーマを勉強するにしても必ず使う。だから自然と復習することになる。「だったら計算はテキトーにやって、よりむずかしめの問題をやったほうがいいのでは?」と思う人もいりかもしれない。
問題を解くごとに計算までしっかり復習するのならそれでもいいだろう。大人から見ると、小・中・高とさんざん計算をしてきたので小学生レベルの計算は簡単だ。しかし、子供にしてみると実際やってみるとかなりのストレスを感じると思う。
たとえば、大人がベクトルや微分積分を今から勉強しなければならないとなったとき、まずは計算に特化した学習をするのではないだろうか?問題文の内容が理解できても、いざ計算するとなると手が止まるはずだ。
塾に通っているなら小5で旅人算などの特殊算を学習する。それ以前の計算ができていないと、解法パターンを覚えることに集中できない。学習する意味がない。そうならないためにも、計算ができないなら1日でも早くできるようにしないといけない。
使い方
使う前にやること
本書の計算問題は、下記の簡単な計算ができる前提でつくられている。だから、これらができないと本書を使っても理解できない。本書で学習をはじめる前に簡単な計算はできるようにしておくこと。
簡単な計算とは次の4つ。
- 四則演算
- 小数、分数
- 文字のある計算
- 単位の変換
とくにおすすめの問題集はない。うすいドリルでいい。
解き方がわからないなら『?に答える小学算数』のどの参考書をみるといい。ただし、解説がわかりやすいからといって、そっちメインで学習しないように。
重いので開くのが億劫になってすぐ挫折する。辞書のように使い、必要な知識はノートにまとめる。わかりやすい分厚い参考書はそうした使い方がおすすめ。
CH1~4は必修
上記の計算を習得したらCH1~4の学習に集中する。これらの内容は、分数、小数、逆算、分配法則などで構成されている。
もしかしたら、先述の基礎計算の学習で終わらせているかもしれない。その場合はこれらの章をやらずに次に進んでもいい。
いずれにしても、これらの計算をマスターして次の学習にとりくむように。そうじゃないと、これ以降に学習する整数、数列など、それだけじゃなく『文章題編』の計算でつまずく。
全部やる必要はない
志望校によって頻出の分野とあまり出題されない分野がある。入試にあまり出てこないような問題に時間を割くのは無駄なので頻出分野から学習する。
頻出分野は、この計算編で扱われる単元だけでなく、図形、文章題もある。さらに他教科も勉強しないといけないので算数にだけ時間をあてていられない。
頻出分野をマスターして、他教科の学習もはかどっているなら、残りの章もやればいい。
どの分野が出題されたかは過去問題集に載っている。